平成24年2月 気になる話題
自宅の太陽光発電設備による電力の売却収入は雑所得
個人が自宅に太陽光発電設備を設置し、余剰電力を電力会社に売却する場合があります。この売却収入は、個人が給与所得者である場合には、雑所得に該当することになります。電力の売却を事業として行っている場合や、個人事業者が事業の付随収入として電力を売却しているような場合(店舗兼住宅に設備が設置され、余剰電力の売却を行っているなど)には、事業所得に該当すると考えられます。なお、これらの場合の太陽光発電設備は減価償却資産に該当し、償却費を費用計上することが可能です。
消費税のみなし仕入率を見直し
平成26年4月から消費税の段階的引き上げが検討されていますが、これに伴い課税の適正化として、簡易課税制度のみなし仕入率が見直されます。昨年、政府税制調査会が簡易課税の実態調査を行ったところ、業種によってはみなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回っている状況にあることが確認されました。今後更なる実態調査が行われ、その結果も踏まえた上でみなし仕入率の水準について必要な見直しを行うとの公表がありました。実際の仕入率とみなし仕入率が大幅にかけ離れていた業種は金融保険業と不動産業(不動産賃貸・管理及び仲介)。現行の90%〜50%のみなし仕入率に加え、新たに40%の区分を設けることが想定されます。
法人ガン保険が税務見直しへ
中小企業に節税商品として人気の高い、法人向けガン保険。昨年、国税庁から生命保険協会に対し「法人向けガン保険について税務取扱の見直しを行う」旨の通達を行いました。本来、法人向けガン保険は事業主や社員の福利厚生を目的とするものですが、条件を満たせば保険料全額を損金算入できるため、課税対象となる利益を保険料の支払に充てることで利益を圧縮することができます。また、解約時等の解約返戻金の返戻率が80%〜90%の商品が多く、費用計上しながら将来の解約返戻金という資産をプールすることが可能で、節税効果が最大のセールスポイントでもありました。保険商品よりも節税商品としての商品開発競争に、国税庁が待ったをかけた形です。既に法人向けガン保険の販売を自粛している生命保険会社もあり、節税人気商品がまた一つ消えそうです。
生命保険料控除の基準日が明らかに
今年から生命保険料控除が変わります。生命保険料控除は、平成22年度税制改正において、介護医療保険料控除(控除限度額4万円)が創設されると共に、新契約に係る一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の摘要限度額をそれぞれ4万円(改正前は5万円)とし、3種の保険料控除の合計摘要限度額が12万円となりました。平成24年1月1日以降が「契約日」となる生命保険契約や、同日以後に「効力発生日」が到来する旧契約に付帯する新契約の締結、旧商品の主契約の更新・特約の更新・特約の付加・保障の見直し等の契約変更などが行われた場合のその旧契約は、「新契約」とみなして改正後の制度が適用されることになります。ただし、旧契約に係る保険金額の増減額(特約の付加は除く)、保障の無い特約の付加、契約者の名義変更等については、新契約とみなすものには該当しません。
国民年金保険料の値下げ
厚生労働省は、2012年度の国民年金保険料月額を2011年度から40円引き下げ、月額14,980円とする方針を決めました。2012年の4月から実施されます。国民年金保険料は2004年の年金制度改革で、毎年280円ずつ引き上げられ、2017年度以降は月額16.900円に据え置くことになっています。これらは2004年時点の物価に応じて決められたもので、実際の保険料は物価や賃金の変動を加味して調整する仕組みです。2010年までに消費者物価指数や平均実質賃金が下落しており、これらを反映しての保険料引き下げとなりました。ただし2012年度の年金支給額も昨年の物価下落に連動して4月から減額する方針が決定しており、国民年金を満額(月額 約65,700円)受給している場合には、月額約800円が減額されます。